上手くいかなくても、前に行く:山岸侯彦先生を偲んで

 7月初旬、山岸侯彦先生がご逝去されたということをメールで知りました。何かのいたずらかなと、まったく信じられませんでした。

 山岸先生は、和嶋が所属していた、東京工業大学大学院 社会理工学研究科 人間行動システム専攻 人間開発科学講座 認知学習科学分野で出会いました。和嶋が山梨から東京に出てきて、認知科学分野に転向し右も左も分からない時に、授業やゼミで認知科学の基礎を教えていただきました。特に、意思決定の分野の面白さを教えてくれた先生で、今でも意思決定は大好きです。

 学生の頃、和嶋は土日や祝日も研究室に行って過ごしていました。かと言って研究をしていたわけでもなくせず、だらだらプログラミングしたりなどしていたのですが、山岸先生も土日にいらっしゃることも多く、よくお話したことを覚えています。実は、一緒にイタズラをしたりしていまして、とても楽しかったことを思い出します。それくらい、気さくで学生と距離の近い先生でした。

 和嶋は修士課程の時、分野の変更や環境の変化で苦しんだことがありました。その時に山岸先生から、「和嶋くんは大丈夫だよ。だって、上手くいかなくても、いつも前に行こうとしてるじゃない。そう言うのって、尊敬する。」というお言葉を頂いたことがありました。その時の和嶋は、周りのすごい先輩や同期の様に、上手くやらないといけないと強く思っていました。山岸先生のお言葉で、「上手くいかなくても、前に行く」でいいんだ、と、とても救われました。「上手くいかなくても、前に行く」は、今も和嶋のポリシーの1つになっています。

 またどこかでお酒をご一緒できるだろうと楽しみにしていましたが、それが叶わず、とても悲しいです。山岸先生、和嶋は今でも意思決定の分野が大好きですし、「上手くいかなくても、前に行く」ことを忘れていませんよ。
心よりご冥福をお祈りいたします。