北陸大学の「分権型 IR 組織」

 Tableauの活用事例として、北陸大学の取組がTableauのページにて紹介されています。

     「分権型 IR 組織」を目指しデータ分析基盤にTableau を採用

 学内の分析需要が高まることを考え、集約型IRではなく、分権型IRの組織作りの基盤として、Tableauを導入した事例となります。分権という言葉から”たこつぼ”を危惧される方もいらっしゃるかもしれませんが、「”つぼ”はこちらが提供しますので、その”つぼ”でそれぞれで自由に暮らして(分析して)くださいね。」という”マンション型たこつぼ”のイメージかと思います。各種分析もそうですが、今年度の教学データ系ホットトピックの「ディプロマ・サプリメント」も、この中のひとつの”つぼ”として同じ枠組みの中で実現されたようです。田尻先生、さすがです! さらに、杉森先生がコメントされているように、学生のデータサイエンス教育にもTableauを採用されているとのこと、すてきです!

 実はこのシステム、IRI Lab.メンバーである津久井さん、山本さんのVelc社が開発しています。そして、この構想の元となっているのは、津久井さんがMJIRで発表した、大学IRのあり方を整理した結果だったりします。

 大学の規模やニーズにあった大学IRの基盤のあり方について、企業や大学とのやり取りの経験から、

  • 最初から過度に大規模なデータ基盤を構築しない
  • 外部システム開発会社によるコーディングを伴うような高度な ETL 開発は避けて、学内でも運用・改修できるソフトウェアを活用する

 がよいだろうという結論です(そして、これを実現するためのコストは皆さんが思っているよりも小さいですよ、という主張)。

津久井 浩太郎・山本 亮・和嶋 雄一郎(2022)「中小規模の大学が"Quick Win"を達成するための大学 IR 基盤の考察」, 大学情報・機関調査研究集会 論文集, 第11号, p. 30-35

 大規模にドカンと素晴らしいIR基盤を入れる、もちろんその形が理想と和嶋も思いますが、コスト(導入、運用、人的)がとても高くなります。さらに、それを活用できる”データ文化”が大学に根付いていないと、せっかく入れた素晴らしい基盤を活用できないということになってしまいます。


 そうならないように、大学の状況に合わせて、”Quick Win”を目指したIR基盤、これがIRI Lab.での結論でした。”Quick Win”を目指したい方、ぜひIRI Lab.までお問合せいただければと思います。